あをぎりの小さなおはなし

つれづれなるままにその日暮らし…

3.小説【短編】

【おはなし】月曜の朝

気が付くと、どこまでも真っ白な平原が目の前に広がっていた。 そして、そこにはマルがいた。 かつてそうだったように僕の前でキチンとお座りをしてじっと僕を見て尻尾を振っている。 マルは真っ白なマルチーズ。僕が子供の頃、家に来た子犬に名前をつけたん…

【ねこばなし】むーのこと

12月も半ばを過ぎるとすっかり冬の様相を呈し、夕暮れを過ぎても街中はあわただしく年末年始の特需にむけ寒さに逆行するかの様な活気があり、駅から続く商店街ではこの時間帯でも特売セールの看板を掲げまだまだ忙しくお客を捌いている。仕事を早く切り上げ…

【えほんにならず】みつばちのおはなし

あなたが本をよんでいる ここからすぐ近くの 小さな森のそば。 一本の木のほら穴のなかに みつばちの巣がありました。 巣のすぐ近くには お花畑があって、今日もみつばちが、はちみつをあつめにとんでいきます。 たんぽぽや れんげや すみれや なのはな。 た…

【短編】部屋と鍵と

海の近くの高台にあるアパート。その二階の一室に、麻衣子は一人で座っていた。 がらんどうの室内に家具などは一切なく、南側の開け放った窓からは、初夏特有の心地よい潮風が吹いてくる。 膝を立てて、壁に背をもたれて座ったまま、8畳1Kの狭いアパート…


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