あをぎりの小さなおはなし

つれづれなるままにその日暮らし…

2.わたしたちはさんぽする

【おさんぽ】月の夜に

月の綺麗な夜に僕は時々散歩にでる 野生の血がほんの少し騒ぐのか猫のチビは僕についてくる 空けたドアの隙間からするりと抜けて 行く先も道も大抵は決めずに僕は歩く チビはブロック塀の上を歩いてくる 沈丁花の花を超えて 時には椿の枝葉を超えて 見下ろし…

【おさんぽ】脱いだ靴と砂浜と

夏を目前にした太陽は、つい先ほど地平線に沈んだが、こんな時間でも空はまだうっすらと明るい。 孝平は、恋人である響香の片手を引いて海浜公園の浜辺を一緒に歩いていた。 孝平の出で立ちは、ズボンの裾をまくったスーツ姿に裸足。右手はスーツの上着とビ…

【おさんぽ】雪の中を歩く

ギュッギュッギュ そんな音が靴底で響く。 私は一人雪の降る中を傘をさして歩いていた。 天気予報では今年一番の寒波襲来らしい。 昨日の半狂乱ともいえる天気予報に、社員には緊急の有給許可が出ていた。 クライアントの打ち合わせ日が、そんな日と重なり自…

【おさんぽ】だいえっとウーマン

本格的な夏も近づいてきたある初夏の日曜日。朝も早くから弘美は、準備万端で気合を入れていた。 きっかけは、先月に見た雑誌の特集『夏を前に!あなたもカンタンウォーキングダイエット!』。 この日の為に、有名メーカーのランニングウェアとスポーツタオ…

【おさんぽ】ちぃちゃんの大冒険

ある春の日の午後、4歳になるちぃちゃんはお昼ご飯を済ませると、きちんと「ごちそうさま」をしてからかばんを肩からかけ、予定通りお出かけの準備を済ませた。「あら。ちぃちゃんどこいくの?」 その様子を見たお母さんは、リビングから出て行こうとするち…

【おさんぽ】バンコクの少女

ここは タイのバンコク市内。観光寺院からは少しはなれたみやげもの街を 少し不機嫌そうに洋平は一人で歩いていた。5月終わりのこの時期は、仏様の生誕祭だか、入滅祭だかで町はお祭り一色になっており、道行く店からは、音楽が盛大に流れ、シーズンの観光…

【おさんぽ】月へのおさんぽ

目の前の真っ黒な宇宙に まんまるな地球がぽっかりと浮いていた。麻美は、大きさは20mくらいの小さなクレーターの斜面に座り込み一人で考え込んでいた。ここなら誰にも見つからないだろうと、選んだ場所だ。 (あーあ。とうとう やっちゃったなぁ)月面ツ…

【おさんぽ】てんとう虫の記憶

それは、あるオフィス街の昼下がりでの出来事。「おまえなんかクビだ!」「あぁ、わかったよ!こんなしみったれた会社二度とくるもんか!」売り言葉に買い言葉。そう言って3年勤めていた会社を飛び出したのは、つい昨日の事だ。今日からは、晴れて無職(と…

【おさんぽ】赤い傘

初夏5月、雨がしとしと降っていた。 わたしは小さい頃から、雨の日がきらいではなかった。 芽吹いた新緑の木々が鮮やかな水に洗われてとてもキレイにみえるからだ。 そんな中でも特に明るい雨の日の午後、わたしは久しぶりお気に入りの傘を手にもち、散歩に…


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