あをぎりの小さなおはなし

つれづれなるままにその日暮らし…

1.わんこやにゃんこの話-わんこばなし

【わんこばなし】鈴の音(すずのね)

チリンチリン… 僕はハッとなって立ち止まると振り返った どうしたの? 夕暮れ時の駅からの帰り道、一緒にいた彼女は僕に聞く 視線の先には通りかかった一匹の猫がいてこちらをみていた あ、ほら猫がいたからちょっとね… 僕は咄嗟にごまかす ケイタはもういな…

【わんこばなし】マリちゃんの一番大好きな場所

マリちゃんは、私たちがよく行くドッグランで見かけるコーギー犬です。 我が家のトイプードル愛犬チャムとも仲良しで、尻尾がないかわりにお尻がふりふりする、とてもかわいい女の子。 飼い主である葉山さんは、五十代後半くらいの元気なおば様で、週末のド…

【わんこばなし】タロウのこと

私が物心ついた時、犬のタロウは既に我が家の一員でした。 電気工事を仕事にしていた父が、工事現場にたった一匹でウロついていた仔犬を保護して帰ったのが始まりです。 本当は人に譲るつもりだったのが、結局情がうつってしまい、番犬として飼うことになっ…

【わんこばなし】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その後

【はじめから読む:その1】 【その2】 【その3】 【その4】 とある初夏の日曜日のことです。 廊下を通りがかった時に居間を見ると、母がノートパソコン見ながら泣いていました。 母の泣く姿なんて、私の結婚式以外で見た事がなかったので、その場で固まる…

【わんこばなし】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その4

【はじめから読む:その1】 【その2】 【その3】 総司おじいちゃんとヨーコ。 二人に出逢ってから翌年、私は無事に大学三年生になることが出来ました。 新入生の歓迎学際も終わって、学校内も落ち着きを取り戻し、お昼休みにランチをとりながら、少し早い…

【わんこばなし】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その3

【はじめから読む:その1】 【その2】 「おはようございまーす」 玄関のカギを開け、ガラガラと引き戸を開けての第一声で、私のアルバイトは始まります。 総司おじいちゃんの家は、昔ながらの平屋建てで、玄関を入ると長い廊下が目の前にあります。 廊下の…

【わんこばなし】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その2

【はじめから】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その1 面接から2日後の土曜日、私は自宅アパートの近所にある、一軒屋のお宅を訪ねました。 私がアパートを借りていた地区は、駅からは遠いものの、学生用のアパートやマンション、コンビニ…

【わんこばなし】おじいちゃんとヨーコと私(おまけでとしぞう):その1

私が、総司おじいちゃんと犬のヨーコ、そしてとしぞうに会ったことをお話したいと思います。 前置きが少し長くなってしまいますが、そこはご了承ください。 当時私は、ある地方の大学で女子大生をしていました。 一人暮らしを始めて大学生活にも慣れ、毎日が…

【わんこばなし】仔犬を拾った?名前はまだない。

今朝、仔犬を拾った?名前はまだない。 土曜日の朝早く、俺はなぜか聞こえてきた犬の鳴き声で目が覚めた。 声のするほうへと、玄関を開けてみると、玄関前の洗濯機の横で、ダンボール箱に入った仔犬を見つけた。 ダンボールには『SAVE ME』の文字。 ご…

【わんこばなし】コロとの思い出

私が初めてコロと会ったのは小学校2年生の初夏の頃でした。 母がママさんバレーのお友達からもらったという、仔犬は黒い柴犬で、小さなダンボールから出した顔は、覗きこんでいる父と母と私を、少し不安そうな顔で見ていました。 「今日から、佳澄がこの子…

【わんこばなし】ほらふき犬ライア

その子犬はいつも 暗闇のなかにいました高い高いビルが たくさん たくさんたちならびそこには まるで光がとどかないのです子犬は その暗闇のなかを おなかをすかせて とぼとぼ歩いていました レストランのごみばこからみつけた エビフライも 年上の大きな黒…


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